助けて。誰が助けて。
 お父さん、母さん、神様。どうかイラリオさんを助けて!

 私は膝を付き、目をぎゅっと閉じて両手を胸の前で握りしめる。強くそう願ったとき、頭に直接語りかけるように懐かしい声が響いた。

 ──おかえり、我が娘よ。祈りを。

 目を開けると、目の前に息を呑むほど美しい男性がいた。長めの銀髪を靡かせ、目は金色。年齢は、イラリオさんとそう変わらないように見えた。そして、肩にはイリスを乗せていた。

 男性が私を見つめる。
 自分の姿を見ると、その体は七色の光に包まれていた。そして、それは本来の大人のもので。

 ──神様、イラリオさんを助けて。そして結界を再生させ、この世界を救ってください。

 私は両手を組み、祈りを捧げる。すると七色の光は天へと伸び、上空で放射状に広がってゆくのが見えた。鬱蒼としていた瘴気が急激に消え去るのを感じる。