絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 とにかく、私をここに運んだイリスを探さなければ。そう思った私は、前へと歩き出す。
 しかしすぐに、背筋がぞくっとするような嫌な気配を感じた。

(何だろう?)

 前方を眺める。数十メートル向こうの草木が、急激に枯れてゆくのが見えた。

(これ、何……?)

 今まで見たことがない風景に、底知れぬ恐怖を感じる。じっと息をひそめると、シーンとした静寂の中でそちらから音が聞こえてきた。
 ズザザザザッと地面を何かが引きずるような音や、大きな獣の息づかいも。

(獣がいるの?)

 アメイリの森にいる獣は全部で三種類だ。普通の動物、聖獣、そして──。

(魔獣だ!)

 魔獣を見るのは初めてだけれど、見た瞬間にわかった。黒い体からは禍々しい程の瘴気が煙のように立ち上っている。