どこからか可愛らしい声がする。目を懲らすと、風の精霊が遠くを飛んでいるのが見えた。アリエッタに返事するかのように、キラキラと煌めいている。

 精霊達はみんな、アリエッタが大好きだ。こんなにも精霊や聖獣に愛される人間を俺は他に知らない。

「エリー、着いたぞ。エリー?」

 俺の胸にもたれ掛かるように動かないアリエッタの顔を覗き込むと、すやすやと気持ちよさそうに眠っていた。

 無理もないだろう。今日は早朝から薬の材料を探すために一日歩き回り、その後に調薬もしてくれた。こんなに小さな体で、本当によくやってくれたと思う。

 俺はアリエッタが起きないように注意しながら、そっとその体をベッドルームへと運ぶ。慎重にベッドの上に体を横たえて、布団を掛けてやった。

(それにしても──)

 自分の部屋に戻った俺は、人知れず息を吐く。