絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 聖獣であるザグリーンに教えられたとはいえ、私が知る限りこれまで世界樹の実を人に飲ませた前例の記録はない。もしかして、それが悪さしているのかと思ったのだ。
 ザグリーンのほうを見ると、落ち着いた様子でブルノ様を見つめていた。そして数秒後、鈍い光が消える。

「ブルノ様!」

 私は思わずブルノ様に縋り付いた。
 すると、ここ数日意識を失っていたブルノ様のまぶたが僅かに動く。

 次の瞬間──。

「ブルノ大司教! 意識が戻ったぞ!」

 ブルノ大司教の体を支えながら見守っていたイラリオさんが、興奮したように叫ぶ。あれほど呼びかけても。回復薬を投与しても効果がなかったのに、ブルノ大司教はまるでいつものように目覚めたかように、体を起こしたのだ。

「ブルノ様! よかったっ!」

 思わずブルノ大司教の膝に縋り付く。

「アリエッタ? ……これは一体?」

 ブルノ様は、なぜ自分がベッドに寝ているのか、そしてどうして私達に取り囲まれているのかが理解できないようだ。頭を撫でられたので顔を上げると、ブルノ様はぐずぐずと泣く私を見下ろして困惑の表情を浮かべていた。

「ブルノ様が死んじゃうかと思いました」
「私が?」

 ブルノ様は状況がわからない様子で、周囲にいる人達を見回す。

「ブルノ大司教は神聖力の枯渇で昨日の午前中から意識を失っていたんですよ。回復薬を投与しても気付け薬を投与しても全く効果がなくて、心配しました」
「私が? 丸一日以上も?」