ザグリーンは不愉快げに唸り声を上げる。どうやらそんなに柔だと思われたことが気にくわないらしい。確かに、ザグリーンは普通の馬よりも大きいのでふたり乗ったくらいじゃビクともしないかもしれない。
 うーむ、聖獣心は難しい。
 私はイラリオさんと共にザグリーンの背中に乗り、首にしがみつく。それを確認すると、ザグリーンが走り出した。

 
 ミンに案内されたのは、とても美しい場所だった。周囲を緑に覆われた山に囲まれたその湖で、その水は驚くほどに透明度が高い。湖岸から見ると、水底がはっきりと透けて見えた。小さな魚が泳いでいるのも見える。

「ここで見たの?」

 私はミンに問いかける。

[うん、そうだよ。ちょっと周囲を探してくるね]
[私も行くわ]

 ふわふわと飛んでゆくミンの後ろを、サンもついてゆく。

[待ってー。僕達も探すよー]と少し遅れてガーネとベラもその後ろをついて行った。

「俺達は湖岸沿いを探すか」

 精霊達の背中を見送ったイラリオさんが提案する。