そのとき、じっと考え込んでいたサンが、「そうだわ」と叫んだ。

[私のお友達に、見ていないかって聞いてみるわ]
「お友達?」
[うん、水の聖霊の仲間。最近は雨が多かったから、森の中は隅々まで見ていると思うの]

 サンは小川に向かって[みんなー]と呼びかける。すると、ポンッ、ポンッっとひとつ、またひとつと水色の光が現れる。それはやがて、サンと同じようなひらひらの水色の衣装を纏った精霊達へと姿を変えた。

[サン、呼んだ?]
[どうしたの?]

 精霊達が、続々とサンの周りに集まってくる。

[あのね、私のお友達が世界樹の実を探しているの。誰か、ここ数日で世界樹の実を見た人はいない?]
[世界樹の実?]

 集まった精霊達は一様に顔を見合わせる。

(やっぱりないのかな……)

 そう諦めの気持ちが湧きかけたそのとき、ひとりの精霊が[そういえば]と口を開く。

[向こうの湖にそれっぽいのが浮いていたのを見たよ]
「それ、いつ? 向こうの湖って?」