絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 沈痛な面持ちで語る主治医の横を、ザグリーンがするりと通り抜ける。ブルノ大司教の体に鼻を寄せると、イラリオさんのほうを振り返った。

「我の見立てでは、この者が倒れた原因は、神聖力の放出過多による疲労だ。神聖力は人によって、力の強さが違う。それを超える量を放出し続ければ、やがて限界を迎える」
「なんだって?」

 イラリオさんは表情を険しくした。ザグリーンはイラリオさんを見上げる。

「恐らく、この地域の結界を維持するためにかなり無理をしたのだろう。このまま放っておくと、危ないな」

 その場にいた全員が、ヒュッと息を呑む。

 ザグリーンは高位の聖獣であり、神聖力のことには私達より詳しい。そのザグリーンが言っているのだから、この情報はとても確度が高いはずだ。

 アリスベン王国の神聖力による結界は、主に聖女の祈りにより維持されている。しかし、聖女の体調などによっては時折綻びが生じることがあるので、そのようなときは各地域の大司教が結界維持の補助を行うのだ。