「礼拝中だった大司教のブルノ様が倒れたんだ!」
「何だって?」
「何ですって!」

 思いがけない知らせに、私とカミラさんは目を見開き、同時に叫ぶ。

「どんな様子なんですか?」

 私は思わずスティムさんに詰め寄る。

「すぐに併設されている医療院に運ばれて、医師の診察を受けた。ただ──」

 スティムさんはそこで口ごもり、眉根を寄せた。

(きっと、すごく調子が悪いんだわ)

 正確な容態は言っていないけれど、スティムさんの様子からそうであることは容易に想像できた。
 セローナ大聖堂には、三日ほど前にお薬の納品で訪れた。そのときは、いつもの変わらず元気だったのに。ただ、相変わらず疲れているような様子はあった気がする。

「エリー。店にある回復薬を」
「はい!」