私が話しかけると、サンはこちらに視線を向ける。瞳も水色で、澄んだ水のような色をしている。

「よろしく、エリー」

 サンは私を見上げて、にこりと笑う。

「その……、気のせいかもしれないけれど、なんだか元気がないように見えたの。どうかしたの?」

 ただの勘違いかもしれないけれど、なんとなく放っておけなくてサンに尋ねる。サンは驚いたような顔をして、それから目を伏せた。

[水が澄んでいないから、力が出ないの──]

「水が?」

 それを聞いて、私は改めて川岸に近づく。しゃがみ込んですぐ近くで川を見ると、確かに水が茶色く濁っていた。泥が混じっているのだろうか。

「普段はもっと澄んでいるの?」
[うん。川底が透き通って見えるくらい澄んでいるわ]
「なんで濁っちゃったのかしら?」

 すぐに思いつくのは先日まで続いていた大雨だけれど、大雨だったらもっと増水していそうなものだ。こんなに水が少ないのもおかしい。