■ 第2話

 アルマ薬店では店頭での販売を基本としているが、納品数量が多いところには定期的な配達もしている。そして、その配達先の二大お得意先は聖騎士団の事務所内にある医務室、もうひとつはセローナ大聖堂だ。

 というのも、セローナ地区最大の大聖堂であるセローナ大聖堂には貧しい人々を対象にした医療院が併設されているからだ。
 大聖堂には医療院が併設されていることが多く、以前住んでいた王都のチェキーナ大聖堂にもあった。私がエリクサーを作れという無理難題を国王陛下から突き付けられて、試作品の効果を確かめるために足繁く通っていたところだ。

「じゃあ、今回はこれを配達してきてもらえるかい?」

 カミラさんはたくさんの薬が入った籠を私に差し出す。薬は小瓶に分けられており、その小瓶一つひとつにお薬の名前、調合に使った薬草類、効果効能が記載されていた。

「はい、行ってきまーす」
「馬車に気を付けてね」
「うん、大丈夫」

 私は薬を鞄にしまうと元気よく手を振り、イリスと一緒にセローナ大聖堂へと歩き始めた。