「おっ。エリー、上手だな」

 部屋で残っていた仕事をしていたイラリオさんがリビングにやってくる。ザクリーンにブラッシングをしている私の姿を見つけ、手元を覗き込んできた。

「えへへ、ありがとう」

 上手と言われると悪い気はしない。イラリオさんはとっても褒め上手だ。

「リーン、気持ちいい?」
「悪くない」

 ザクリーンはうっとりするように目を閉じている。
 気持ちいいって言えばいいのに、素直じゃないなあ。
 でも、なんだかんだで気に入ってくれているのがその様子からわかって、嬉しくなる。