(多分もうだめ? 死にそうってこと?)

 なぜか胸の辺りがざわざわとした。
 このままではいけない、助けないと、という気持ちが湧いてくる。

「その聖獣、どうしているの?」
「聖騎士団の本部には、聖獣の保護施設があるんだ。時々傷ついたのを保護することがあるから。今はそこにいる」
「ねえ、レオ。私、明日その聖獣を見ちゃだめかな?」
「エリーが?」

 イラリオさんは驚いたように目を見開く。

「うん。どうしてもその子を見たいの」
「しかしなあ。聖獣と言っても見た目は獣だぞ。しかも、今回のはかなりの大型獣だ」
「大丈夫だから! お願いっ!」

 なおも渋るイラリオさんに必死に頼み込む。なかなかうんと言ってくれないので、最後は〝必殺、潤んだつぶらな瞳で上目遣い〟を使わせてもらった。
 イラリオさんが参ったと言いたげに頬を掻く。

「あー。わかったよ。少しだけだぞ」
「本当? ありがとう、レオ大好き!」

 私は大喜びしてイラリオさんにぎゅっと抱きつく。
 イラリオさんは苦笑しながらも私を抱き上げ、「仕方がないなあ」と目を細めたのだった。