ロベルトさんは私の考えていることにすぐに気付いたようだ。

「陛下とイラリオは母親が違うのですよ」

 何やら複雑な人間関係が絡むということはわかった。でも、なんでイラリオさんはこんな僻地で聖騎士団の団長なんてしているんだろう?
 そんな疑問は、この後のロベルトさんの説明ですぐに明らかになった。

「イラリオは、王都で慎ましく暮らしているには優秀すぎたんですよ。優秀な王族には人望が集まる。それを疎ましく思った国王から、ここに行くように命じられたんです」

 ロベルトさんははあっと息を吐くと、ティーカップを手に取ってお茶を飲む。

「私は元々、イラリオの側近となるべく育てられていました」
「じゃあ、ロベルトさんも貴族なの?」
「はい、そうですよ。ラミレス侯爵家という家門です」

 ロベルトさんはこくりと頷く。
 貴族の家門については詳しくないけれど、侯爵家がとても高貴な身分だということはわかる。通りで育ちがよさそうな雰囲気が漂っていると思った。