「今日は蓮が一番気に入ってくれたハンバーグ! 楽しみにしてて! でも……食べたら直ぐに帰ってねっ」



嫌いになったんじゃないよ? でも近づかないで……

そんな気持ちで放った言葉だった。

今まで普通だった人に拒絶されて傷付いたよね。

ごめんね。

初めて蓮に振る舞ったハンバーグで初心に戻るから,ちょっとだけ待っててね。



「蓮! 今日の夜ご飯は8時ね! また後で!」



マンションが見えて,私は逃げるように家へと走った。



「ごめんね,蓮。私は……こんなつもりで声をかけたんじゃないんだよ……」

ほんとう……なんだよ。

意味はないと知りながら,部屋で1人,そんなことを呟いた。