「おかえり,呉羽」

「おま……たせ」



蓮がどんな顔で言ったのか,私には分からない。

ただ,少し安心したような声だった。

どうしても顔をあげられない。



『そんな顔すんな。分かってたから。だってお前は……あのガキに惹かれてる』



なんで美世ちゃんも,お母さんも,達也までが……私が蓮の事すきみたいに言うの?



『お前はただ俺の事を受け入れられないんじゃない。他にその場所にたって貰いたい人が,蓮がいるから受け入れられないんだろ?』



だけど,蓮を初めて名前で呼ぶ達也をみて……

悲しげにムリして笑う達也をみて……

今までの蓮を思い出して,そうかもしれないと,そう思ってしまった。

せっかくの初恋とか,そんなのはどうでも良い。

わたし,は……

ーーそう思ってしまった自分が……許せない。