「ねぇ呉羽。昼の話じゃないけど,何で呉羽はここで一人暮らししてるの?」



今日はトマトスパゲッティ。

当たり前みたいにソファーに座っている蓮が,突然そう聞いてきたのは,全て食べ終わった後だった。

お母さんからの電話はまだない。



「……蓮は?」

「呉羽,話そらしたね? うん,でも良いや」



そう言って蓮は話し出す。



「僕の事を……好きだという子がいて。その子は人気者で友達が沢山いたんだけど,良く,ほぼ毎日僕の周りに来るようになった。お菓子を作った,話をしたい……理由は様々だったけど,夜家族で食事してる時にも」

「何度もなるインターフォンに家族もうんざりしてたし,僕,用は相手をするのに疲れちゃったんだよね。僕の周りには小さい頃から女の子が人より多くよってきたけど,そのほとんどは僕の中身,気持ちなんてどうでも良かったんだ。両親も,結構取り敢えずやってみせようみたいなところが昔からあったから……」

「ふふっ。すごいでしょ? 許してくれたの。普通ならこの年でそんなの許されないのに。なにもいわなかったけど,両親は僕が小さい頃から探しているものに,きっと気付いてたんだ」