「あのっ蓮……」



動揺を精一杯の強がりで隠して声をかけると,コツンッと蓮のおでこが私のおでこに重ねられた。



「蓮っ!! 近い……息がかかって……」

「クスッ……そうだね? キスだって簡単に出来そう」



どうゆう意味?



「とにかく! はなれてって……ば……?」



何……その目……

ぜったい逃がさないよ?

そんな意思だけを感じる,見たこと無い色をのせた瞳。

私は,思わずはっと息を呑むような強い視線にドキリとして身をよじった。



「呉羽……ダメだよ? 僕の前で他の男の人の事を,何が格好いい,面白い,楽しいなんて話したら」

「な……んで?」



蓮が……分からない。



「約半年,呉羽の誕生日まで……とか,そんなに長い間,呉羽の気持ちが変わるまでなんて気長に待っていられなくなるから,だよ?」



そう言う蓮からは,初めて声をかけてから日が浅いとは言え,今まで感じたことが無いほどの色香を纏っていた。