……蓮は私の疑問に何一つ答えずに帰っていった。

私はへなへなと座り込む。

こうしてその場に座り込むのは一体なんかい目? 蓮が来るようになった頃を思い出す。

そしてフラフラとテーブルに向かい,食事を再開する。



「味,分かんないし……」



分かるのは,体のほでりと今だやまない胸の高鳴り。

1日を思い出すと,何だか胸がきゅうっとなって,思う存分好きなものを食べた時のような感覚がした。

まるで,私がプレゼントを貰ったみたい。

私はその夜,本当の誕生日にもっと大きな幸せがやってくるなんて知らず,蓮の柔らかな笑みを思い浮かべながら穏やかな眠りについた。