年上なのに、翻弄されて

それを見越していたらしい蓮は,こっちを見て立っていた。

そして近寄ると,とても自然な動作で私を抱き締める。

そうしたかと思うと,今度は少し距離を置く。

そして,私の背中で指を組んで私を見下ろし微笑む。

何で,今そんな表情をするの?

妖しさとあどけなさ,そんなことが可能なのかと思うような,どちらも兼ね備えた笑み。



「ふふっ。呉羽,緊張してる?」

「な,んで?」

「ふっ,だって顔,真っ赤だから」



指摘されて,ようやく今の自分の顔がどうなっているのかに気づいた。

さらに熱が全身にまわる。

とっさにうつむくと,蓮に髪を掬うようにして上を向かされた。



「ふふっ。だ~め。ねぇ呉羽,今日こんな可愛い格好にしたのは僕のため? 髪も巻いてるよね,可愛い。ふっ。今日,嬉しかった。プレゼントも。呉羽から独占欲みたいなのを感じて,ちょっとビックリしたけど」