年上なのに、翻弄されて

「呉羽。おいしい」



ちょっとして,蓮はふふっと笑った。



「……うん」



何度も聞いてきた言葉。

だけど,今の私にとってそれは,始めて聞いた日よりももっと,ずっと嬉しい言葉。

やっぱり,疑う余地もなく,私は蓮が好きだと実感する。

そのあと,私達の愛だに会話はなく,過去1静かな食事となった。

でも,不思議と焦りも気まずさもない。

気恥ずかしさと心地よさ,どちらも混ぜ合わせたような気持ち。



「ごちそうさま」



フワフワとした私の頭に届く声。

蓮はお皿をキッチンに運び,水に浸けると,そのまま玄関に向かう。

いつもはもっといるのに……

そう思いながらも,それがクセとして染み付いている私は,見送るために玄関に向かう。