年上なのに、翻弄されて

「……それ,あけて?」



私のあげたプレゼント。

何だかすごく,買ったときに思ったことを聞いて欲しい。

蓮は言われた通り,袋から箱を取り出すとパカッと開けた。



「黒い,マグカップ?」



底から飲み口にかけてふんわりと広くなっている,テカテカのマグカップ。

探したら直ぐに見つかるような,普通のマグカップ。

でも……



「色,形,雰囲気。雑貨屋でこれを見つけた時,蓮だって思ったの。それに……」



これは,言っても良いのか分からない。

どんな反応をするだろうか。

でも,今伝えたいって心が叫んでる。



「蓮,ほとんどこの家で過ごしてるのに,蓮の物,1つもないの。それって変だなって,寂しいなって思って……それがあれば,蓮はずっと家に来てくれるかなって,思ったの」



やっぱり,彼女でもないのに重かったかな。

いや,彼女だったとしても重い気がする。