年上なのに、翻弄されて

大人しく後ろを歩き,家のドアをガチャリと開けながら蓮に言う。



「あの,まだ盛り付けてないの。冷えちゃうと思って……」
           
「大丈夫だよ? いつもの場所に座ってれば良い?」

「うん……」



なんか……気恥ずかしい。

蓮の目とか,いつもって言葉にいちいちドキッとする。

白米。

少し奮発して買った高めのお肉を焼いたもの。

ポテサラに,それを囲うように盛り付けられた生ハムとチーズを使ったサラダ。

そしてオニオンスープ。

 

「口に合うか分かんないんだけど……」



何か違う。

言いたいのはこんなことじゃあない。



「今日の分の食事代は要らないからね!? 誕生日だし,私が勝手に作っただけだから」



絶対にこれでもない。



「うん」



蓮は優しげに笑って,私が本当に言いたいことを待ってるみたいだった。