年上なのに、翻弄されて

「蓮……顔……」

「ぇ? じゃああの時嬉しそうだったのも……?」



真っ赤。

口にする前に,つられて自分も赤くなる。



「呉羽。今,ちょっと余裕ないからあんまり見ないで?」

「蓮! くっ苦しいよ」



しばしの沈黙の後,蓮は私をギュウッと抱き締めた。

蓮からのハグは密着度が高いけど,包み込むようなふんわりしたのが常で,こんな風に抱き締められたのは初めて。



「ちょっとだけ我慢して? 誕生日なんて,すっかり忘れてた。これ,プレゼント? 呉羽が……選んでくれたの?」

「うん。あとカップケーキ。朝バレそうになって,ちょっと焦った。時間遅くなっちゃったけど,料理も作ったの。来てくれる?」

「うん。行く」



少しドキドキしながら言うと,蓮は包容を解いて,私の手を取ると私の家へと足を向けた。