ねっ? と言って秋巴さんは月奈さんに寄ると,怪訝そうな顔の月奈さんの方に少しかがんだ。

ぅ…わっ!?

私は咄嗟に,声をあげないようにと口を手で塞いだ。

キョロキョロすると,沙羅ちゃんは明後日の方向を向いていて,蓮が私に説明してくれる。



「母さんが父さんをいじめすぎた時にたまにあるんだよ……あ,僕たちもする?」

「いやするわけないでしょ」



またからかって…冗談と本気半々みたいな顔されると分かんなくなるんだよ…

月奈さんの様子を伺うと,おろおろしている月奈さんと,ニコニコしている秋巴さんがいた。

だけどそれも一瞬だけで,私の視線に気づいた月奈さんは取り繕うように顔を背けた。

なおも耳は赤い。

蓮も……?

当の本人は秋巴さんの言葉を気にも止めず,ケロッとしていて……



「沙羅ズルい。呉羽,次は僕のとこに来てね?」



全くそうは見えなかった。

でもそっか……やられてばっかりだし,頑張ってみようかな。

そんなことを思ったりもした。