指定されたのは、私の高校の最寄り駅前にあるファミレス。

学生の財布に優しいリーズナブルな飲食店なので、学校帰りにたまに利用することがある。


なんでファミレスを指定したかわからないけど、それよりもなんで私の高校の最寄り駅なのかが不明。


北高からも自分の家の最寄り駅からも遠いはずなのに。



いや、それ以前に……。


「どうしていきなり」


「今まで連絡を取り合ってたんじゃないの?」


爽からの問いに、勢いよく首を横に振った。


「とんでもない。文化祭の時に連絡先を交換したけど、一度も取り合ってないよ」


「じゃあ、どうして?」


「さあ……?」


2人して首を傾げる。



「やめやめ。折部くんのことは考えないようにしよう」


「そうだね。あんまり深く関わらない方がいいよ。なんか結咲の話を聞く限りだと、押しが強くて面倒くさそうだし」


爽には文化祭での出来事を話した。


聞いていた時の爽は……

表情を険しくしたり、思いっきり顔を引きつらせてドン引きしたり、無遠慮な反応を見せていた。


それが可笑しくて、笑ったのを覚えている。



折部くんから届いたメッセージに【部活があるから無理】と返して、スマホをロッカーにしまった。