「たまに『避難』とか言って(うち)に来てるから家族仲が悪いのかと思ってたけど、思い過ごしだったかな」


「……今でも結咲の家に行ってるの?」


「うん、たまにね。夜ご飯食べに来てる」


「そうなんだ……」


……?

和奏は『爽に言ってある』って言ってたけど、知らなかったのかな?


「あ、でも、心配することないよ?ほんとにたまにだし、帰りはちゃんとお兄ちゃんが送ってあげてるから」


咄嗟にフォローを入れる。


「真崎先生が送ってるの?意外」


「でしょ!私もビックリした」


爽に笑顔が戻って、一安心する。


しっかりしている爽だけど、案外、心配性なところもあるみたい。



***



昼の暑さが残る夜。

夕飯を食べ終えて、思い思いの時間を過ごしていた。


そんな時だった。



ピンポーン。

インターホンが鳴った。


「こんな時間に誰?」


「えーっと……、あら!和奏くんだわ」


「私、出ますね」


インターホンの画面に和奏が映っているらしく、

代表してゆかなさんが玄関へ出迎えに行く。