先輩。教えてあげる



そう言ってケラケラ笑う彼に反省の色は微塵も見られない。


でも、それでもいいと思ってしまうのは私が甘いのか、毒されてしまったのか。
どっちにしてもこれは良くない傾向だと思う。


そしてそれは彼に筒抜けだったらしく、


「先輩、慣れたらきっともっと欲しくなるよ。ほら、今からたくさんして慣れさせないとね」


なんて迫ってくるもんだから、油断も隙もない。

このまま流されて全部が彼の思いどおりになるのもなんか癪だな……。


そう思い、力が抜けた腕で体を押し返していると。彼はあっさり離れて急に真顔になった。


「……ねぇ、先輩。教えてあげる」

「……え?」

「このイチャイチャのハードなやつも、その先の続きも。俺がどれだけ先輩のことを好きかってことも」

「な、に……」

「これから時間をかけてゆっくり、ね」


年下のくせに最後には妖艶な微笑みを浮かべた彼は、そう言って一つ優しく包み込むようなキスを落とす。


それがまただんだんと深くなっていき、思考や気力……なにもかもを奪われる。


私より早く大人になりきった後輩を前に観念した私はそれを無抵抗に受け入れ。



──────甘く深い愛情の海に身を委ねるのだった。