「先輩、好き。大好き」
キスの合間に降ってくる言葉たち。
うわ言のようにぽつりぽつりと零れているから、無意識に言っているのかもしれない。
セリフ、行動、視線。
いろんなもので私の脳みそを甘く溶かしてくる彼は一体私をどうしたいのか。
ドキドキしすぎてうっかり心臓が止まってしまったら責任を取ってほしい。
「……っ、はぁ」
「おっと、大丈夫?」
酸欠でくらりと身体が傾いたとき、暴走しかけた彼はようやく止まってくれた。
『全然大丈夫じゃないよ。こんなに酸素が美味しいって思うのは人生で初めてのことだよ』
と、言いたいけれど最初の一文字を発することさえもできない。
余裕そうな彼はとりあえず満足したのか、曇りひとつない満点の笑顔を浮かべている。
……そんなに幸せそうな顔をされたら文句の一つも言えない。
「ほんとはこのまま全部奪ってしまいたいけど、仕方ないからちょっとだけ待ってあげる」
「ソレハソレハ、アリガトウゴザイマス」
「え?今すぐ奪っていいって?」
「違う!耳鼻科行け!獣め!」
「俺が獣なんじゃない。先輩が可愛すぎるのが悪い」



