もう一度口を大きく開けてカツサンドを頬ばろうとした時。
「え」
ザザァーッ……と砂を蹴る音が聞こえてきたかと思えば、
目の前に男の人が乗ったバイクが止まり、ヘルメットを取った。
何に驚いたかって……そりゃ金髪のイケメンさんだったから。
……あれ、私、この人を……知ってる?
こんな目立つ人と出会っていたら、忘れるはずがないけど……。
でも、そう思った。私はこの人を知っている。
そう思ったら、なぜかわからないけど涙が溢れてきて、止まらなくなった。
あ、あれっ……? どうして私、泣いてるのっ……?
慌てて指で涙をすくうけど、次々と溢れてきて止まらない。
「え、とっ……あ、す、すみませんっ……急に泣いたりしてっ」
少し無理やり笑顔を向けると、彼も驚いたように目を見開いていた。
その後、嬉しそうな……懐かしむような、幸せそうな表情になって。
「見つけた……!」
そう言って、彼は私の腕を引いて抱き締めるようにギュッと離さなくなる。
っ……。
彼のこの温かい温もりを、私は知っている。
あぁ……そっか。そっかぁ……。私がずっと探していたのは、君だったんだ。
全てを思い出して、私の目尻から大粒の涙が溢れた。
「好きっ……」
ずっと、伝えたかったよ。
その言葉が出てくると、彼は……叶君は、私の頬に優しく触れた。


