〜十数年後〜









毎日夢を見る。誰か……優しい笑顔を向けてくれた。


私が、決して忘れてはいけない人。














「お母さん、お父さんっ。行ってきまーす!」


「「行ってらっしゃーい」」






初めまして。私は花宮麗華(ハナミヤ レイカ)。

普通の家庭に暮らす、幸せな女子高生。



私は今から学校ではなく、大好きな仲間に会いに行きます。


仲間というのは、暴走族みたいなものなんだけど、みんな優しくてあったかい。


古びた倉庫の扉に手をかけ、ゆっくりと扉を開ける。








「みんなっ! 久しぶり〜!」


「わぁ! 麗華〜!」






真っ先にぎゅぅっと私に飛びついてきたのは、瑠希くん(ルキ)。


後ろには想良さん(ソラ)。その隣には龍星さん(リュウセイ)。



これが私の、仲間だ。






「麗華、また見ぬうちに綺麗になったね」


「ふふっ……想良さんこそ、また爽やかさが増してるよ」






幸せに満たされた日々。

だけど心の一番大事なところは、ポッカリと穴が空いたみたいに空っぽだ。


なにか大切なことを、忘れているような感覚。






「麗華は今日も今から学校か?」


「うんっ! 放課後もみんなに会いに来るね!」






龍星さんに笑顔を向け、拳を握る。


毎日 毎日、本当に楽しい。