「っい!?」
廊下を走っていた私は、突然腕を引かれ、教師以外立入禁止の部屋に連れ込まれた。
声を上げそうになったけど、ぽすっと胸板に頭がぶつかる慣れた感覚と大好きな匂いに気づいて、必死に声を殺した。
私たちの関係が周囲にとってイケナイものだと理解しているから……
いつもはこんな不用心なことしないのに、と見上げれば、何故か少し微妙な顔をしていた。
「……ふぅ。また頼みごとでしょう。貴女は休み時間の度に学校を端から端まで走っている」
「で、でも」
「分かっています。断れないのでなく、貴女がそうしたくてしているのでしょう? そんなところも好きです」
仕方ない人だと、ポンっと頭に置かれた手にドキドキが止まらない。
「だから、せめて少しは体を休めて下さい。」
先生は私をぎゅっとする。
そして帰りに糖分をとアメをくれた。
その後、私はそれを舐めながら、きゅうきゅうとうるさい心臓を鎮めるのに必死だった。