ーゴトン…ゴン,ゴトン

寝そうだ…と外を眺めながら思う。

もしかしたらあいつも,と横目で見ると,やはり既に眠っていた。

…無防備に寝やがって

俺は少し気に入らない気持ちになりながら,そっと視線を外す。

するとコトンっとでも言うように,ゆっくりと右肩に重みがやって来た。

俺は一瞬息を詰めて,努めて平静を装う。



「ねー,あれ」



人の気も知らず笑う女性に,俺は内心舌を打った。

起きろ…とまでは思わない。

ただ,自力で持ち直して欲しいと切実に思う。

チラリと視線を寄越すと,穏やかな寝顔が目に入った。

…やらかそ。

純粋な興味に,胸が擽られる。



「…っんあ?」



間抜けな声。

パチリと開いた目とかち合い,俺はドクドク心臓を鳴らしながらそっと伸ばしていた指を回収した。

邪なことはなにも…!



「んー…あれ? どした?」



二人の道のりは…長い