幼馴染みで彼氏な彼の家。
彼は自分のベッドで寝ていた。
(ふ,黒猫みたい)
癖っ毛な彼の髪をそっと撫でる。
そうしているうちになんだか暇になって,ベッタリとうつ伏せていた彼の横に私も並んだ。
そのまま彼の髪に手を伸ばすと,少しテンションが上がってくる。
(かっかわいいー!)
寝ていることをいいことに,私は彼にペタペタふさふさ触る。
するとパッと手を掴まれて,気づけば私の手首はシーツに縫い付けられていた。
彼は私の上にいる。
寝起きとは思えない俊敏さ。
やっぱり猫みたいだ。
「ねぇ,誘ってる?」
彼の目は熱く濡れている。
低く掠れた声に,私は身の危険を察知した。
「わっいやっちがう! ごめんね!」
「ちょっと,うるさい」
「きゃぁっ」
彼は私の口を塞ぐ。
彼は猫みたいだけどそうじゃない。
私が起こしてしまったのは,ネコ科の猛獣だったらしい。
「んっぁ」
銀の糸をひく彼は,まさに猛獣だった。