少し前,と言っても結構前。
私と『先輩』は同じ係だった。
話したことなんて,一言二言。
まぁ取り合えずそれはもう少ない。
だけどそんなことは理由にならなくて。
私はただ,先輩の笑顔に,一目惚れをした。
笑った時に少し出る八重歯にきゅんとして,以外とあどけないその表情にもきゅんとして。
それからずっと,見かける度に目で追うだけの日々。
私の幸福を感じる度数はどんどん下がって。
今ではもう,一目見れただけで幸せな日だと言える。
あー,今日もかっこ…

「あのさ」

?!
せん…ぱい?
え,私全部口に出てた?
「俺の事好きなら,そう言えよ。いっつも見てくるくせに…俺もうすぐ卒業するよ」
「え」
バレて,た?
卒業? まだずっとさ…き……
まさ,か……
間違いなく赤い顔。
どう見てもツンデレな,逸らされた顔。
いつも格好いい先輩。
って…本当はこんなに可愛い人だったの…?!

「…すき」
「?!」