昼夜構わずぶおんぶおんと。
そんな暴走族という人種が大嫌いだった。
迷惑で迷惑で,唯一ほっと1人で呼吸できる夜をぶち壊すから。
だけど。
ドカドカと響く公園で,救いようのない同級生から私を守ってくれたのは
「っカぁ…っ」
誰か,たすけて。
明るすぎるライトで私を照らしたのは。
ーブォォォン!!
大きくバイクをふかす,1人の男だった。
「な?!」
「なにしとるんや」
声をかけただけ。
それだけで私の敵は簡単にいなくなる。
「お前は」
「母親は無関心,父親は帰ってこない。友達もいなくてあんなのばっか」
もう,いや。
私は男を遮って,血を吐くように吐き捨てた。
「俺もや。独りぼっちで,仲間が欲しくて…でも」
男は考える様に私を見る。
「お前,ウチ来るか? バイクはええで」
再度大きな音がして,私は顔をあげた。
皮肉にも私を助けたのは。
いつか窓の外に見た迷惑な連中の,先頭を走っていた人間だった。