『丁度良かった。寂しいから一緒にきてよ』
そう手を引かれてやって来た図書室。
俺,関係ない。
そう思いながらも,俺で良かったと素直についてきてしまうのは惚れた弱み。
彼女は俺じゃなくても声をかけたから。
「わ! 雪だよ!」
「…本は?」
「良いじゃん,ね?」
彼女は窓の外の雪におおはしゃぎ。
「私ね,雪とスノードロップが大好きなの」
可愛いからいいけどなにそれ?
「そうなんだ」
それだけ返す。
「あのね,雪には色がなかったの。だけど,そのお花だけが色を分けてくれて,だから今の色なんだよ」
ここで漸くその正体が花だと知り,へぇと思った。
「まるで君みたい。だからすき。私をいつも助けてくれてありがとう」
…誰がこんなオチを想像できた? まるで
「…告白みたいだ」
ポロリ。
「っそんなつもりじゃ……でもその,間違っては,ない,よ?」
あぁ,君の心はいつだって真っ白で,どんな花よりもずっと綺麗だ。