「久しぶりのデートだね」
紅葉のきれいな公園を大好きな先輩と2人歩く。
それだけで満たされた気持ちになりながら,私はそうですねと返した。
季節はもう11月。
見頃を終える前にと来た公園を眺めながら息を吐くと,それはもう,少し白く見えた。
「寒い?」
そんな事はないと慌てて先輩を見上げると,思ったより距離が近くてビックリする。
でも,と続けて先輩は更に私に近づきおでこに軽くキスをおとした。
そして,私の頬に触れる。
「こうするととてもあったかくなるよね」
驚いて数回瞬くと,はっきりとした赤いもみじが前髪に引っ掛かって,私は反射的に片目をつむった。
先輩はそんな私をクスリと笑ってそっともみじを取ってくれる。
「同じ……だね」
何を言われたのか,分からなかった。
でも,私の顔が同じくらい赤いと言う意味だと気付いて,更に体が火照る。
今度は唇にキスをおとされ,漏れた息は,最初よりも白い様に思えた。