私は彼氏がモテすぎるから、最近事あるごとに不安になる。
それでも胸を張ってなきゃって思ってて。
だから、彼が誘ってくれた今日も、めいっぱい楽しもうって……彼とはぐれるまでは、思ってた。
彼が私の視界から消える瞬間、私は彼じゃなくて、彼の心が離れていくような錯覚をした。
私には、彼にこれからも愛される、自信がない。
「いた!」
涙で何も写らない目の代わりに、耳が彼の存在をひろう。
「ごめん……不安にさせて」
「違うよ。私が弱すぎるだけ」
私が、自信を持てるような人間じゃないだけ。
「これ、受け取って。いつか、羨ましいって言ってたろ?」
『いーなー花火の度にあれつけてる』
お母さんが、プロポーズされた花火大会の日に貰ったネックレス。
『いつか、私も好きな人に貰うんだ』
綺麗な……ネックレス……
「不安になんて、ならなくて良い。俺は、ずっとお前だけが好きだよ。これも、絶対俺が渡すって思ってた。」