総一郎はあかりから顔を限界まで逸らす。ここは絶対に折れない、譲らない、謝らないという気持ちの表れである。あかりはそんな子供っぽい総一郎を見てイラッときた。


 総一郎の中で、あかりを独占できることが当たり前だったのに、突然現れた男、しかも部活のライバルに手をつけられるなんて。もう、イライラモヤモヤが止まらない。


 自分だけのあかり、よそ見してほしくない、こっちだけ見ていてほしい。


 初めて感じた独占欲に、総一郎は軽くパニックだった。何度も言うが、この独占欲から恋愛感情に繋がらないのが総一郎のダメなところである。