『ゆあ、またケガしたのかよ! おまえほんっとドジだな』
『えへへ〜、みずたまりであそんでたらそのままころんじゃったぁ』
いつの、記憶だろう。
もう分からない。
今私は、何を見てるの……?
『いやぁーっ!! お母さんっ!!! 死なないでよぉっ!!!』
まだ、幼い頃だ。
これは、お母さんが病死する日。
私は泣きじゃくってお母さんにしがみついてた。
ベッドに寝っ転がって、いつもみたいに目を瞑って、幸せそうに寝ているだけなのに……周りの大人達はみんな泣いてて、幼い私も、それが死んでしまったということは何となく分かった。
『結愛には、おれがいるから! おれ、一生ゆあのそばにいる!
おれが代わりに、ゆあを守る! だから泣くな!』
『っ……、いらないっ! 代わりなんてっ、いらないっ!!
私はお母さんがいいっ〜……!』
あの日、私を元気づけようとしてくれた男の子を、傷つけてしまった。
彼はそれ以来、私の前に姿を現すことはなくて。
お母さんが死んでしまったショックから、私も彼を忘れてしまっていた。
名前も……姿かたちも、あの……優しい笑顔も。
『結愛、いつか……迎えに行くから』
最後に見た、あの悲しそうな顔も。
全部全部、忘れていた。
でも……。


