「んんっ……今何時……」
うんっと伸びをして、ゆっくりベッドから起き上がる。
うーんっ……よく寝たぁっ……。
また王子さまの夢見ちゃった……えへへっ。
この年にもなって彼氏未だにできたことない……しかも未だにあるわけのない小説の王子様を夢見てる。
いい加減、現実を見なくっちゃっ……。
ふわぁっ……と小さくあくびをしてから、スマホを開いて時間を確認。
よし、7時50分。 ……え? 7時50分??
「あ、結愛おはよぉー! もう行くよぉ!」
この子は七瀬美瑠ちゃん。私の相部屋の子。
「えっ、えぇっ……! 起こしてよぅっ……!」
実はここ、星王学園は、寮制なのだ。
ここに入った理由、笑わないで聞いてね?
"運命の王子さま"を、探してるの。
あっ、す、好きな人ってこと!
世界一好きな人見つけて、世界一幸せな家庭を築くんだぁっ……。
って! あぁっ……また夢ばかり見て……現実は、そんな甘くないの分かってるんだけどな。
「私も今起きたとこなのーっ! えっへへ」
「ほぇ〜っ……」
こ、これじゃあ間に合わないっ……。
寮の隣だからそこは救いだけど……なんて考えている間に、私は準備完了した。
「結愛、準備はっや!」