僕は過去の自分に殺される

僕が殺される日、僕はわざとみすぼらしい格好をした。
彼女に言った。
僕と離れた所にいて。
僕が殺すのを躊躇してしまうから。

僕はその場所へと向かった。
僕は彼女を救うための紙切れを握りしめた。

最期に彼女の顔を見たい、彼女の姿を探した。

彼女は僕に向かって微笑んだ。
僕も彼女に向かって微笑んだ。

僕は幸せだ。
一生分の愛を彼女に伝える事が出来た。
一生分の愛を彼女から受け取ることが出来た。

過去の自分が殺しに来た。
僕は過去の自分のポケットにそれを押し込んだ。

僕は僕に言った。

「ありがとう」

これで僕は彼女を救うことが出来る。

僕は今、10年の時を経て未来の自分から伝えられた言葉を知った。

僕は幸せだ。