幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!

慌てて私もついていくけれど、ボストンバッグが重すぎて足が進まない!

2人は荷物すら持っていないし。

きっと、マネージャーさんに預けてあるんだろう。

私にはマネージャーなんてつかないから、自分で荷物を持つのは当たり前。

っていうか、自分の荷物くらい自分で持とうよ。


よろよろしながら2階へと続く階段を上っていると。

ふと、腕が軽くなった。

と、思えば唯斗くんが階段の中で立ち止まっているじゃないですか。

しかも私の荷物を持って。



「荷物、持ってやる」

「えっ! いいよ! 自分で持てるから!」

「いいから。甘えとけ」



そう言って唯斗くんは、私の荷物を持ったまま階段を上っていく。


……甘えとけ、って。


その言葉を発した時の唯斗くんの表情は、よく読み取れなかったけど、耳が少し赤かったような気がするのはなぜ?

もしかして、照れているとか?


ありえ……ないな。

唯斗くんに限ってそれはない。

だって、ただの幼なじみだし。

唯斗くんだったら、損得で考えると思うし。

私の荷物を持ったからって、唯斗くんが得することはない。