幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!

「バカっ。引かれたらどうするんだ」

「ご、ごめんなさい」

「……はあ、」



そうだよね。

一歩間違えれば、事故になっているところだったかもしれない。

唯斗くんはそれを守ってくれたんだ。



「……ありがとう」



素直に唯斗くんを見上げると、目が合った。

抱きしめられた状態のままの私。



「気をつけろよ」



そう言って、唯斗くんは顔をそむけた。

それにつられて、私も顔をそむける。


私の頬が赤くなったのは夕日のせいだから。

唯斗くんがかっこよく見えたから、とかじゃない。

唯斗くんの雰囲気が違うから、とか、そんなんじゃない。

唯斗くんも『男の人なんだな』なんて、思ってしまったとかじゃない。

私の顔が熱いのは、夕日を浴びているから。


そう。

それだけの理由。

それだけの理由なのに。



「美羽。……顔、赤いぞ」



唯斗くんに指摘されて、私の頬はさらに熱くなる。



「唯斗くんだって……。顔、赤いじゃん」



語尾に力がないのは、きっと秋の風に流されたから。