幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!

「……ごめんっ」



南條くんはそう言うと、思いきり頭を下げた。



「えっ⁉ え、なに⁉」



戸惑いと驚きを隠せない私はオロオロしてしまう。

そんな私を知ってか知らずか、南條くんは頭を下げたままだった。

頭を下げたまま、話をしてくれた。



「俺、琴音に少しでも近づきたくて。琴音と仲の良い有村さんに近づいたんだ」

「……っ」

「有村さんと付き合えば、琴音が少しでも俺のことを意識してくれるかも、って」



南條くんの声は静かに、体育館に響いた。

私は黙ってその言葉を聞く。

体育祭以来、初めて交わす言葉。

今はしっかりと南條くんの話を聞きたいと思った。



「俺は有村さんの気持ちを知っている上で、利用したんだ。謝って許されることじゃないけど……。ごめん」

「……うん、いいよ、もう」

「体育祭の日も、酷いことばかり言ってごめん」



南條くんは頭を下げたまま、謝ってくれた。

ここまで本気で謝ってくれるなら、もういいよ。


私は、南條くんに頭を上げるように言った。

ゆっくりと頭を上げる南條くん。

その顔は泣くことを我慢しているような少年の顔だった。