綾音は素直に受け入れるどころか、嬉しそうに何か言っている。        
             
                 
呆然としていると、その男が今度は腰を浮かしてまで綾音に手を伸ばした。   
                
                
「何……を……?」        
                 
                 
男が綾音の頬に手を当て、覗き込むように顔を近づける。            
               
                 
今……のは……キス……?    


あまりの事に頭が上手く回らない。  
                 
                
綾音はこれも受け入れた上に、楽しそうにないかを言い、それを聞いた男も楽しそうに何か言葉を返した。         
             

もう、ここにはいられない、居たくないと思い、その場所とは正反対の来た道を戻る。


まさか、あの日。


俺があの家で暮らし始めて4日目の木曜日。


綾音が呼んでいたのは、元カレじゃなくてあの人?         
                      
「蒼くん!」