蒼side     
               
「くそっどこだ? 見失った」     
                  
                  
俺は、              
             
『ひぁあ! 触らないで!!』   

あの言葉を受け、最近の挙動不審も相まって拒絶されたのかと思った。     
              
               
だけど、その時の綾音の顔を見て、一縷の希望をもって追いかけ、そして見失った。 
                  
                   
この辺りで綾音が逃げ込みそうな所は?  
                 
                   
この辺りにあるのは、         
              
美術室、音楽室、そして図書室。    
               
ここだな。          
              
            
「いた」             
                  
              
でも、泣いてる?          
                
                 
遠目でよく見えない。     


その時、綾音の向かいに座っていた俺の知らない男が綾音の頭に手を伸ばして頭を撫でる。      
          

「綾……音?」