約束の土曜日の前日。         
                
               
「ねぇ。明日だったよね?」     
                  
                  
私はいつものように本を読みながら、そんな分かりきって意味の無い質問を蒼にしていた。               
                  
                 
「そうだね」            
                  
                   
ソワソワする私を、嬉しそうに見ながら蒼が答える。               
                  
                  
それだけ聞いて、私はいつもより早く自室へと戻った。            
                   
                   
「う~ん。どうしよっか。デートでもあるまいし、変にオシャレも出来ないよね。でも、変な格好で外なんて行けないし」    
                  
                  
悩みに悩んで、私はどこかの景色がプリントされたTシャツと、茶色のガウチョに、ハーフアップで行くことに決めた。      
                    
                   
あれ?                
                  
                  
私は今日この日まで、1度も気がつかなかったことに気がついた。