キャラメル頭の君と、１ヶ月の同居ラブ｡

「ただいま～」


家は静まり返っている。　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　
いつもは､お母さんがこの時間にはもう家にいるはずなのに。　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　
「この時間に買い物なんて珍しいなぁ～」　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　
この時の私は、こんな風に呑気な事を思っていた。　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　

おやつを食べようと、キッチンに足を運ぶまでは……｡


「ん？　なにこれ」　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　
そこには置き手紙があった。　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　
古風だと思いながらも、お母さんは時々こういった真似をするので、特になんとも思わず読み進める。　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　

「綾音へ､
この前､お父さんの会社で異動になったお父さんのお友だちが戻ってきたのだけど、昨日２人で海外に１ヶ月の出張が決まってね？　綾音もお母さんの夢知ってるでしょう？　お母さん、向こうのお宅の奥さんと仲いいから、ついていくことにしたの。でも、綾音１人で１月も生きてゆけるとは思えないから、そこの息子さんを家に居候させることにしました。４時には来るからよろしくね？　綾音も知っている人よ。じゃあ同居生活頑張ってね！」