翌日、私は念入りに自分の姿を鏡で確認してから家を出た。


学校への道のりはいつも以上に長く感じられて、近づくに連れて鼓動が早くなっていく。


昇降口を抜けて真っ直ぐ、職員室へと向かう。


ノックをして戸を開けると、すぐにA組の先生の机が見えた。


「どうした?」


慌ててやってきた先生にモゴモゴと口ごもりながら自分の意志を伝える。


「そうか、今日は1日A組で授業を受けるか」


先生は嬉しそうな声色でそう言う。


私はぎこちなく頷いた。


本当はまだまだ教室へ戻る勇気はない。


だけど昨日眠る前に考えていたことがずっと脳裏に焼き付いていた。


「はい。でも、もし無理そうなら……」


「あぁ。すぐに特別学級へ戻ってもいいから」


先生に言われてホッと胸をなでおろす。


それならひとまずは安心だ。


「なにかあったらすぐに言うんだぞ?」


「はい」


私はA組へと向かったのだった。